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速読は受験勉強に役立つの


最近ある速読教室の現役の先生からメールを頂く事が度々ありました。私も以前似たような悩みを持っ たりしたこともあり、是非その方には最後まで頑張って頂きたいなーと思っております。

ところで、その方とのメールのやりとりの中で、速読は受験勉強にとって有益なのか、という話題が 度々出てくる事がありました。そこで、今回は受験勉強に速読は本当に役立つのか、考えてみたいと 思います。

私は以前より書き続けているように、速読をやったからと言って、突然成績が 良くなるという事を全く信じていません。なぜならば、このような現象が仮にあったとしても、それは あくまでもその人がこの間持っていた知識がうまく使えるようになったとか、速読によって得た能力を 駆使した結果、成績があがったに過ぎないと考えているためです。つまり、速読をやれば自動的に成績 があがる等というのは、戯れ言にすぎないし、速読を修得して努力をしなければ、成績が上がることな ど決してない、と私は思っているためです。

なんかこう言われると「速読なんてやるだけ時間の無駄じゃん」と言う気もするのですが、実はそうで はないと私は思うのです。

まず、速読が受験勉強に役立つ理由の一つは、短時間に大量の情報の摂取を可能とすることだと思いま す。どの科目においても、情報を摂取することは最低限要求されていると思います。そして、問題を解 く際には最低限の情報が必要とされるでしょう。ケアレスミスと呼ばれる不注意による間違いは除くと して、通常の間違いは、多くの場合基礎的な知識が欠けている事によって起きるものだと私は思います。 速読を学ぶ事により、情報の摂取並びに反復継続が以前より遙かに容易になるわけですので、当然この ような間違いを是正する事が可能になると思います(この点は新日本速読研究会が記した知られざる受 験勉強法という諸著作の中で記されている通りだと私は思います)。

しかし、速読を修得する最大のメリットは、むしろ情報の大量摂取を短期間に可能とするため、頭の中 で当該科目の知識が以前と比べ整理しやすくなるという点にあるのでは、と私は思うのです。以前超勉 強法と言う本を読んだ時にも感じたのですが、一定成績を上げようと思えば、その科目のアウトライン が頭に入っていなければなりません。ただ、アウトラインを頭の中に作ろうと思えば、一定のスピード と反復継続が必要になるのではと私は思うのです。このスピードを提供するのが速読法だと私は思って います。

この利点は、新たな視点を提供するという役割を果たすと思います。多くの発明が既存の発明の修正に 過ぎないことからみても、体系化され、整理された視点は、新たな視点を生み出す基礎ともなり得ると 私は思うのです。この新たな視点を生み出すという利点は、小論文入試などにおいても、有効性を保ち うるでしょう。速読のみでは、すばらしい文章は書けるようになりませんが、他の方とは少し異なった 視点を提示する事が可能であるという意味において、速読は有効性を発揮しうると私は思います。

さらに、この科目を整理しうるという利点は、記憶力の向上に奉仕するでしょう。つまり、整理された 多くの知識は、アトランダムに吸収された知識より、記憶の定着率が高い事は、多くの心理学者が指摘 する所だと思います(多分、記憶を要素としない速読教室において記憶力が向上したという報告は、脳 力の向上と言うより、知識が高速で急激に吸収されたため、全体像が見渡しやすくなった結果、知識の 定着がよくなった事を原因だと思います)。

結局、速読のメリットは、情報を短期間かつ大量に入力できるため、頭の中で知識の整理がしやすくな る事にあると思います。そして、このメリットは、知識の定着や新たな視点を提供することでしょう。 確かにこれらのメリットは、受験生の学習効率を飛躍的に向上させるものです。

しかし、これらの利点は、速読を修得しただけでは、何らの効果ももたらさないでしょう。つまるとこ ろ、速読法も勉強の道具に過ぎず、この道具を使いこなさなければ、何の効果ももたらさないのです。


追記 記憶を要素とする速読教室で、その記憶の内容が「右脳記憶」と呼ばれる教室の場合、私がここ で書いたことがあてはまるとは限りません。なぜなら、もし「右脳記憶」が「写真記憶」と同視できる ものとすれば、ここにおいて言葉の意味は重視されないからです。むしろ、以前も書きましたが、写真 記憶とは、本のページを写真に焼き付ける様に記憶し、言葉の意味を介在させないとするものだからで す。もっとも、「右脳記憶」が「写真記憶」と同じものでなければ、話しは当然異なります。

詳しくは、以下の本を参照されて下さい。

天野 清 訳 偉大な記憶力の物語−ある記憶術者の精神生活 文一総合出版
青木 信義ほか訳 記憶術 水声社
トニー・プザン 記憶の法則  東京図書
ブラウン 記憶力がよくなる本 東京図書




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