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専門書と速読



以前、専門書と速読について書いたことがあるのですが、そこで訓練対象としての本を主 に書きました。また、みそは速読をしにくい本として、専門書をあげています。

実はその点につき質問がありましたので、専門書の速読に関して若干の補強を行いたいと 思っています。

では、まずなぜ専門書が速読しにくい本と言えるのでしょうか。

その理由はいくつかあるのですが、基本的に専門書を読むためには、かなりの知識とその 専門書が扱う当該分野の体系なりを理解していなければならない、と言えます。その知識 不足や学問に対する理解力の浅さは本に対する理解度を低下させるばかりでなく、さらに は理解力を上げるために無意識に本を読むスピードを落としてしまう傾向があります。実 際は、スピードを落とした所で、理解度があがる等という事はあまりないのですが、なぜ か理解できないとスピードを落としてしまうのが、人間の悲しい性なのかもしれません。

もっとも、当該分野に関する専門家の方等は、その分野を扱う本を読み慣れているでしょ うから、さほど苦もなく速読できるかもしれません。でも、そう言った方ですら、やはり 専門書になるとスピードがかなり通常の本と比べ落ちてしまう事もあるようです。やはり、 専門家の方でもかなり速読の力が安定していないと、スピードが落ちてしまう事があるの でしょう。

では、次にどんな理由があるのかというと、それは学問の分野の特殊性等があるのだと思 います。例えば、法学の場合本を読みながら六法を参照するため、かなり速読しにくい学 問分野かもしれません。また、民法等のように事例が錯綜する場合、やはり流れるように 読んでいく事は結構慣れないと大変だと思います。また、経済学の場合、マルクス主義経 済学の場合ならばともかく、数式などを駆使する他の学派などでは数式が本文の中に数式 が挟みこまれるため、結構読むのがしんどくなるのではないでしょうか。さらに、哲学な どの分野の場合、ソクラテスとかプラトンならば比較的にノリノリと読めるのかもしれま せんが、ヘーゲルやカント等はみそは結構苦手です(文体が硬い上に、読みにくいんです よね)注。

次に専門書の特徴として、注が極めて多いという特徴があります。これは以前も書いたと 思うのですが、注は思考の流れを断絶させるため、せっかくスピードをのせて読んでも、 その注の部分によりスピードの伸びが阻害される可能性を秘めています。また、注部分は 文字の大きさも変わるため、読みにくいと言えるでしょう。

と言うことで、専門書を速読する事は結構大変な事だと思います。しかし、速読法を修得 された方たちによれば(また私の経験も含めて言えば)、以前と比べかなり速く読むこと はできるが、やはり一分間に数万字と言うレベルではなかなか読むことができない、とい うのが率直な所だと思います。


じゃあ「速読するの無理じゃん」という気がしないでもありませんが、もちろん克服が可 能です。

最初に、まず専門書と呼ばれる本の中で、易しめの本を選びましょう。そしてこの本を何 回か「3割」位理解できると思うスピードで読んでいくのです(実際は眺めている感じ というのが正しいのかもしれません)。

次に、上記の訓練が終わったら「7割」位理解できると思うスピードで読んでいきます。 これをまた、何回か繰り返しましょう。

この過程を毎日毎日繰り返してみましょう。だんだん、本のペースにもなれますし、スピー ドが上がってくると思います(記憶を要素に入れない速読教室の場合、一分間に一万文字以 上読めるようになるまで繰り返しましょう)。

後は、この要領で本の量を増やしていくだけです。最初の頃はかなりしんどい事もあるとは 思いますが、結局専門書にしても速読やその分野に関する慣れの側面が大きいので、練習す ればするほど、速く読めるようになることは間違いないと思います。ただ、本選びのポイント として、2回目は1回目より専門性の強いもの、次はさらに強いものと順に難しいものに していく事が必要かとは思います。

では、皆さん頑張って下さいね。みそもがんばろっと。



注 みそはソクラテスのゴルギアスが結構好きです。あの陰険そうなソクラテスが好きな んですね。でも、書いたのはプラトンだけど、随分ソクラテスのイメージはプラトンが書 いた時期によって違うんですよね。とても同一人物について書いたものとは思えないくら い、時期により違いますね。きっと、プラトンの考え方が変化したのでしょう。




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