目次に帰ります  前のページに戻ります



速読と記憶



この間、みそは「速読に記憶という要素を持ち込む事を否定的に考えている」との趣旨の発言を行って きました。

別に、この意見を変えるつもりは全くありません。その理由は極め単純な理由です。つまり、 読書内容を記憶するということは、その人が読んでいる本が扱う分野などに対する造詣の深 さを無視し、語る事はできないというものでした。

ところで、先日メールを頂いた方から、速読の中に記憶という要素を持ち込まれる速読法の 方から、ご指摘を頂きました。その内容なのですが、そう言う言い方をされると、「自分の 速読法が間違っている様な気がする」との内容でした。

そこで、今回は速読と記憶の関係について述べてみたいと思います。記憶を速読の中に持ち 込むのか、否かというのは、結構深刻な問題とみそは考えています。

実は、みそがインストラクターをしていたのは、新興の速読教室で未だ多くの点で速読法の 確立を巡り、教室内でも深刻な対立が生まれていました。その一つが、記憶という要素を速 読法の中に持ち込むのかと言う問題だったのです。みそから言えば、本音で言うとどちらで も良かったのですが、ただ記憶という要素を持ち込む事にみそとしては否定的な意見を述べ たことを覚えています。

では、なぜある人は記憶という要素を速読法に導入することに熱心なのかというと、それは 三つの理由があるように思います。

一つは、速読法を修得したという結果を他者にも理解されるためです。つまり、みそのように 読書とはある意味自己満足だという立場とは異 なり、速読法の成果が他者にも理解できるものにすることが必要である、と考えているため です。

みそはこの立場には否定的なのですが、それでもこの理由はかなりもっともな理由であると 言えるのです。なぜなら、みそのように読書というのはある意味自己満足であると考えてし まうと、速読になるとそのスピードに圧倒された人から、インチキだと言われる可能性が高 いんですよね。そうでしょ。一分間に速くても通常の方は千文字も読めればいい方なんです から。そんな常識からすると、速読なんてインチキだとなりやすいんですよね。

だから、みそ個人の意見としては、あんまりこの立場はいいとは思わないけど、他の速読教 室がやっている事が間違っているとは思わない、と言うのがみその正直な気持ちなんですよ ね。もちろん、記憶という事を速読法に入れる事によるマイナス要因がないとは言いません が、それでもそれは書く速読教室がノウハウの蓄積を通じ克服する問題だと思っています。

じゃ、「二つ目の理由は何なんだよ」と言うと、それは読書感の対立ではないかと思いま す。最初のところでも書きましたが、所詮速読法も読書の一形態にすぎません。とすると、 情報を摂取する事に力を入れる事を読書と考える速読教室は、どちらかというと速読法に 記憶という要素を持ち込みやすい傾向にあるのです(例外もかなりあり)。これに対する 立場は、どちらかというと情報摂取以上の事を読書に求めている様な気がします。この点 にしても、「どっちがいいんだ」言われると、「それは個人の問題じゃん」としかみそに は言いようがありません。もちろん、みそが学者だとか、なんか偉い人ならともかく、別 にみそは偉くもないし、馬鹿なので、何とも言い難いというのが本音のところです。

それで、最後の理由なんですけど、明らかに速読法に記憶力増強というニーズが存在する からだと思うんですよ。例えば、大学受験の方とか、資格試験の受験生の方からすれば、 そりゃ死活問題でしょ。だって、速く読める上に、内容を記憶できる技術があるならばと いう事になると思うんですよね。そう、ニーズがなければ、商品もなかなかできません し(ニーズがなくても、そのニーズが作れないくらいでは、だめな経営者であるとみそ は思いますが)。

じゃ、「結局お前さんはどれがいいと思っているんだ」と聞かれると、個人的には速読法の 中に記憶という要素をあまり持ち込まない方がいいと思うけど、それは選ぶ人の問題じゃな いかなーと言う気がするんですよね。だって、速読法も読書なら、いろいろな読み方があっ てもいいと思うんですよ。それを、「あの人の読み方が間違っている」とか、「記憶できな い速読法は間違い」なんて事は言えないでしょう。

だから、どちらが間違っているとか、間違っていないとか、言えないと思うんですね。はっき り言って。みそとしては、あまりいいと思わないけど、他の人が違った考え方をすること自体 が間違っているとは言えないし、思わない、と言うのが正直なとこなんですけどね。

結論として、メールをくれた人にも言ったんだけど、いつも言っているみたいに、速読教室を 選ぶときには自分との相性を考えた方がいいと思うんですよ。速読法の対立の一つには、明ら かに読書感の対立とかが含まれていますから。

だから、皆さんも速読教室を選ぶときは、気をつけて選んで下さいね。本を読むとか、体験コー スに行くとか、カルチャーセンターに行ってみるとか、いろいろ方法はあるわけで。

みなさんが、うまく自分のニーズや希望に合った速読教室を見つけられる事を祈っております。

注 マイナス要因って何かというと、あんまり記憶記憶と言うと、スピードが伸び悩む虞があ るんですよね。元々「キム式」が所謂右脳記憶法と言って提唱したのが速読の中に記憶という 要素が入ってきた原因だとみそは思うんだけど。この右脳記憶法、結構慣れないと大変な方法 なんですよ(慣れると楽しいですけど)。

例えば、「書き出し訓練」と言う訓練があって、これは「キム式」の看板を出している速読教 室だけでなく、いろいろな速読教室でやられている比較的ポピュラーな訓練なんですけど、こ の訓練にしても慣れないと結構つらいものがあるんですよね。そうすると、慣れないから、結 局受講生の方が速読教室に来ない、その結果うまくいかない、というある種の悪循環に陥る可 能性がある訓練でもあるんですよ。そこで、この訓練をやる速読教室では、様々な工夫をして この書き出し訓練がうまくいく、工夫をしているわけです。




目次に戻ります 前のページに戻ります もっと読んでみたい
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu